ChatGPTやGeminiといった生成AIを使い、旅行計画を立てる人が増えています。

「○泊○日でおすすめの旅行プランを作って」
「効率よく観光地を回りたい」
「電車移動中心で旅程を考えて」

こうした依頼をすると、AIは数秒でそれらしい旅行プランを提案してくれます。

実際、とても便利です。

以前なら、

  • ガイドブックを比較し、
  • 地図を見て、
  • 時刻表を調べ、
  • モデルコースを組み立てる

必要がありました。

それが今では、AIに質問するだけで、ある程度まとまった旅程が完成します。

私自身、旅行情報を整理したり、知らない観光地を探したりする時に、AIを使うことがあります。

ただ、旅行の現場で長く旅程を見ている立場からすると、

「AIの旅行計画は便利。でも、そのまま使うには注意が必要だな」

と感じることがあります。

なぜなら、AIは「情報整理」は得意でも、

  • 実際の移動のしやすさ
  • 旅の自然な流れ
  • 人が感じる疲労
  • 無駄な遠回り

までは、まだ十分に考慮できていないことがあるからです。

実際に先日も、

「一見自然に見えるのに、よく見るとかなり不自然な移動ルート」

になっているAI旅程を見かけました。

今回は、旅行業界で20年旅程を見てきた立場から、

  • AI旅行計画の便利さ
  • AI旅程の注意点
  • 旅行のプロは何を見ているのか
  • AI時代に失敗しない旅行計画の考え方

について、実際のエピソードを交えながらお話したいと思います。


AI旅行計画で実際にあった「不自然な旅程」

先日、お客様からこんな相談を受けました。

「AIで旅行計画を作ったので、この内容でJR券を手配できますか?」

最近は、こうした相談が本当に増えています。

旅行会社へ行く前に、まずAIで旅程を作る。

これは今の時代では、ごく自然な流れだと思います。

今回のお客様の旅行は国内旅行でした。

旅程としては、

  • 福井を出発
  • 小田原で一泊
  • 翌日に藤沢へ移動

というシンプルな内容です。

観光内容そのものに問題はありませんでした。

ただ、JRの移動ルートを確認した時、少し違和感がありました。

本来であれば、

  • 福井 → 小田原
  • 翌日 小田原 → 藤沢

という流れで十分です。

ところがAIが提案していたルートは、

  • 福井 → 小田原
  • 翌日、小田原を出発
  • そのまま東京方面へ移動
  • 東京まで行ったあと、折り返して藤沢へ向かう

という、不自然な経路になっていました。

AIで作成した旅行ルートを地図上で確認したところ、不自然に行ったり来たりする経路になっている様子

つまり、「目的地を通り過ぎてから戻っている」状態です。

おそらくAIは、
到着時間や接続条件をもとに、機械的にルートを組み立てたのだと思います。

時刻表上は成立しています。

ただ実際の旅行として見ると、

  • 無駄な移動
  • 余計な時間
  • 不要な運賃

が発生していました。

しかも、お客様はその内容に違和感を持っていませんでした。

むしろ、「AIが作ったなら効率的なんだろう」

という印象を持たれていたようでした。

ここが、AI旅行計画の少し難しいところだと感じています。


AI旅行プランは「それっぽく見える」から気づきにくい

AIで作られた旅程は、一見かなり自然に見えます。

駅名も並び、
時刻も入り、
観光地も整理されている。

そのため、

「AIが提案したなら大丈夫だろう」

と思いやすいのです。

ただ実際には、

  • 行ったり来たりする
  • 不自然な遠回りをする
  • 無理な乗換がある
  • 移動時間が長すぎる

ケースもあります。

特に、普段あまり鉄道移動をしない人ほど、

「これが普通なのかな?」と思ってしまいやすい。

今回のケースも、まさにそうでした。

もしそのまま旅行していたら、

  • 本来不要な運賃を払う
  • 無駄な移動時間が増える
  • その分観光や食事時間が減る

可能性がありました。

旅行中の1〜2時間は、意外と大きいものです。

その時間で、
ゆっくり食事ができたり、
カフェで休憩できたり、
景色を楽しめたりします。

だからこそ、
旅程の「自然さ」はとても重要なのです。


AIは「情報整理」が得意。でも「旅行体験」は別

ここで誤解してほしくないのは、

AIがダメと言いたいわけではない

ということです。

むしろAIは、本当に便利です。

例えば、

  • 知らない観光地探し
  • モデルコース作成
  • 雨の日プラン
  • エリア比較
  • グルメ候補整理

などは非常に優秀です。

旅行初心者にとっては、
旅行計画のハードルを大きく下げた存在だと思います。

以前なら、ガイドブックを何冊も比較していた作業を、短時間で整理してくれます。

ただ、旅行というのは、

「情報を並べれば完成するもの」ではありません。

実際の旅行には、

  • 疲労
  • 荷物
  • 乗換
  • 混雑
  • 天候
  • 食事
  • 休憩

といった、“人間側の感覚”があります。

AIは、

  • 到着時刻
  • 距離
  • 接続

などをもとに旅程を組み立てます。

でも、

「その移動が快適か」

までは、まだ十分に判断できていない印象があります。


旅行のプロは「快適に移動できるか」を見ている

旅程を見る仕事をしていると、単純な所要時間だけではなく、

「実際に旅行者が快適に動けるか」をかなり意識します。

例えば今回のようなケースでも、単に時刻表だけを見ているわけではありません。


無駄な往復になっていないか

今回のように、

  • 目的地を通り過ぎる
  • 行ったり来たりする
  • 遠回りする

ルートは、実際に移動するとかなり疲れます。

AIは条件によって、こうした経路を提案することがあります。

ただ、人間が見ると、「これは不自然だな」と感じることがあります。

旅行では、シンプルで自然な移動の方が、結果的に楽なことが多いのです。


乗換時間は現実的か

AI旅程では、「理論上は乗換可能」な行程が出てくることがあります。

ただ実際には、

  • 初めての駅
  • 大きな駅
  • 荷物
  • 人混み

があります。

時刻表上は3分で乗換可能でも、
慣れない土地ではかなり慌ただしいこともあります。

特に旅行中は、
普段より疲れやすいものです。

そのため旅程を見る時は、

「本当に落ち着いて移動できるか」

をかなり意識しています。


高齢者や子連れなら、あえて一本遅らせることもある

これは旅行の現場ではよくあります。

例えば、
乗換時間がギリギリでも成立するケースがあったとしても、

  • 高齢者
  • 小さなお子様連れ
  • 大きな荷物

の場合は、あえて次の列車をおすすめすることがあります。

なぜなら、「間に合う」と「快適に移動できる」は別だからです。

旅行は、乗換に成功すれば終わりではありません。

荷物を持って走った時点で、
かなり疲れてしまうこともあります。


逆に「2分乗換でも問題ない」場合もある

これは少し面白い部分かもしれません。

一見すると危険に見える短時間乗換でも、

  • 到着ホーム
  • 出発ホーム
  • 駅構造

によっては、問題ないケースがあります。

例えば、

「到着した列車の向かい側ホームに、次の列車が待っている」

場合などです。

この場合、2分程度でも十分成立することがあります。

つまり旅行の現場では、

  • 時間
    だけでなく、
  • 駅の動線

まで見ていることがあります。

こうした部分は、まだAIが苦手な領域だと感じます。


JRのルールは意外と複雑

今回のお客様のケースでは、もう一つ気になった点がありました。

それは、JR券の買い方です。

一般的には、

  • 福井 → 小田原
  • 小田原 → 藤沢

を別々に買うイメージを持つ方が多いと思います。

ただ、JRには途中下車のルールがあります。

条件を満たしていれば、

「福井 → 藤沢」の一枚の乗車券で、
途中の小田原で一旦下車し、翌日再び利用できるケースがあります。

もちろん、こうしたルールを一般旅行者が知らなくても当然です。

ただ旅行の現場では、

  • 運賃
  • 切符の使いやすさ
  • 旅全体の流れ

まで見ながら旅程を考えています。

これは、AI旅行計画だけではまだ見落とされることがある部分だと感じます。


AI旅行計画を使う時に確認してほしいこと

AIで旅行計画を作ること自体は、私はとても良いことだと思っています。

ただ、そのまま予約する前に、

「本当に自然な旅程か」を一度確認してほしいと思います。


地図で位置関係を見る

観光地や駅を地図で見ると、

  • 行ったり来たりしていないか
  • 不自然な遠回りがないか

に気づきやすくなります。

AIの旅程は、一見かなり自然に見えるため、
文章だけでは違和感に気づきにくいことがあります。


自分たちが無理なく動けるか考える

旅行は、
普段慣れている通勤移動とは違います。

  • 初めての駅
  • 大きなターミナル駅
  • 荷物
  • 人混み

など、想像以上に疲れます。

そのため、「理論上可能か」ではなく、

「自分たちが落ち着いて移動できそうか」

で見ることも大切です。


詰め込みすぎていないか確認する

AIは効率よく多くの観光地を組み合わせるのが得意です。

ただ実際には、

  • 朝が早すぎる
  • 移動ばかり
  • 休憩時間がない

旅程になることもあります。

特にある程度の大人旅では、

「回れること」と「楽しめること」は別

だと感じます。

旅行先のカフェで街並みを眺めながら休憩する様子観光地を急いで回るだけではなく、地元のカフェで街の空気を感じる時間も旅の醍醐味です。

AI時代だからこそ「人の感覚」が大切になる

最近は、AIで旅行計画を作ることが当たり前になってきました。

これはとても便利な時代だと思います。

以前より、

  • 情報収集
  • モデルコース作成
  • 観光地比較

は圧倒的にしやすくなりました。

ただ、旅行は単なる「移動効率」ではありません。

実際に旅をするのは人間です。

だからこそ、

  • 無理のない移動か
  • 快適に過ごせるか
  • 余裕があるか

という感覚も大切になります。

旅行の満足度は、「何か所回ったか」だけでは決まりません。

移動ストレスが少なく、
ゆっくり景色や食事を楽しめた旅の方が、
思い出に残ることも多いと思います。


AIをうまく使いながら、思い出に残る旅をしてほしい

AIは、
今まで知らなかった観光地や、
自分では思いつかなかった旅先を教えてくれる、とても便利な存在です。

だからこそ、
AIが提案してくれた旅程を“たたき台”にしながら、

  • 無理のない移動になっているか
  • 少し余裕のあるスケジュールか
  • 不自然な遠回りがないか

を、一度確認してみてほしいと思います。

せっかくの旅行です。

移動に追われるだけではなく、

  • 景色をゆっくり見る
  • 地元の食事を味わう
  • その土地の空気を感じる

時間も、大切にしてほしいと思います。

AIに素敵な観光スポットを教えてもらいながら、
少し余裕のある旅程で、
思い出に残る旅行を楽しんでください。

ABOUT ME
おケイ
旅行会社勤務歴20年継続中。国家資格である国内・総合旅行取扱管理者、総合添乗員、トラベルコーディネーターの資格を保有しております。 日々旅行の相談を受け、時にはコースを作り、時には添乗員として出かけることもあります。 皆さまの旅行を向上させるをモットーに、旅行のクオリティがぎゅんぎゅん上がる! いつもの上行く、思い出に残る旅行のアイディアをご提案してゆきます。